Marcel Moyse と Namuna

2週間で、いよいよ新元号への改元ですネ。 

さて、2019年の新元号を前にしての記事は、 

恩師であるフルートの神様マルセル・モイーズ先生の事です。 

一ヵ月後の、

517日がモイーズ先生の「生誕130年」になります。 

2011年より身辺整理を兼ねてモイーズ先生に習った時の
テープやら、手書きの楽譜やら『 後の世代に残すように
と先生と交わした約束事を実行できるよう、整理を始めました。 

記憶が、新たに『 後の世代に残すように 』と、 

実行に移すことを要求しているようにも思えます。 

何れ経過などをご報告できる日もあるでしょうが、今回は
楽譜の整理中に色々思い出したモイーズ篇の 

The Golden Age of the Flutists』というモイーズ先生直筆の
楽譜を取り上げます。 

52ページのこの曲集の一番最後に出ているのがラロ作曲の
『ナムーナ』と言う曲です。元はオーケストラ組曲4曲目の
Fête foraine No.4(a)』フォン ビューローに捧げられたもの。 

このGoden Age曲集に載っているモイーズ版は珍しく2/8
記譜されている。 

同じナムーナの編曲にはモイーズ先生の師匠のタファネルの
手になる(?)フルートとピアノのための物がある。
こちらは原曲と同様の2/4という拍子で書かれているが、
時折リズムが(編曲者タファネル?により)分割されていたり、
音が異なっていたりする。 

下記の楽譜を基に違うところを書き出すと、 

Allegretto non troppo から34小節目オケ版モイーズ版は
Sol - re - Sol
の跳躍、そして次がSol - sol - Sol の跳躍。に対し
Sol - sol - Sol
の跳躍、次もSol - sol - Sol の跳躍。 

56小節目の二拍目の最後の音がオケ版モイーズ版は faナチュラ
に対し fa♯となっている。(この fa♯がとても居心地が悪い!) 

最近タファネル版で練習していると居心地が良くない。 

それもそのはず、モイーズ版の細かい指示がレッスンの賜で
身についているからでした。 

Lalo自身の名称では『Introduction et Allegretto』の後の部分
Allegretto non troppo
からの5小節目部分からMoyseにより
64
小節が採譜されている。 

当時のレッスン受講時に故ロバート・ボーウェンが役に立ててと
貸してくれた手書きの楽譜をレッスンの合間を縫って写譜ペンで
書き写していた。 

日本では馴染みのないボーウェンの名前だが、毎年モイーズ
夏期講習会に参加していたニューメキシコ大学の教授である。
オランダのハーグでフェスター氏に師事。同時にチェンバロ
G.レオンハルトについて学んでいた。
東京で再会を果たした後、高速道路で車に追突されて亡くなった。 

その彼から借りて書き写したナムーナの楽譜が完成したのは丁度
Taffanel
の命日と同じ1122日だったので良く記憶している。 

少し脱線してしまった。 

モイーズ版ナムーナはその後ゴールデンエイジというタイトルで
全音から出版された物の中には収録されなかったが、今は楽譜と
成っているのだろうか? 

細かい指定の通り『Namouna』の曲想を身につけるのは大変だった。
何分 rit.a Tempoが頻繁に繰り返される。 

レッスンのテープの数が他の物と較べかなり長時間に亘っている事でも
モイーズ先生の気の入れようが自ずからわかろうというものである。 

レッスンを受けて数年後トゥールーズのオケの試験の時に
課題として演奏させられた事は記憶に新しい(??)。 

新らしい年号に代るのを前に、色々昔のことを書いてしまいました。 

温故知新!!温故知新!! 

昔のテープを聴きながら、今までになく稽古に精進している自分が
こうして存在し得るのも《何故か?》と生きる使命を改めて考えています。 

皆さまにおかれましては、改めて素晴らしい令和の年となる事を、
心から願っております。